「石川佳純は終わった」に感じる浅はかさ[全日本2019]

波乱、石川佳純がベスト16で敗れる

全日本5日目、石川佳純が早田ひなに敗れ、ベスト16止まりという波乱が起きました。

ベスト8に残れなかったのは13年ぶりだそうです。
2007年(2006年度)の全日本で5回戦敗退して以来。


2006年度の全日本卓球というと、

男子 1 水谷隼 2吉田海偉
女子 1 平野早矢香 2藤井寛子
混合 坂本竜介&福原愛

ジュニア男子 1 水谷隼 2 松平賢二
ジュニア女子 2 石川佳純 2 藤井優子

こんな感じの懐かしい面々。
石川佳純が初めてジュニアを勝った年でもあり、水谷が一般初優勝を飾った記念すべき年。
それから12年連続でベスト8だったんですね。

「石川佳純はもう終わった」という浅はかさ

さっそくネットでは「石川佳純時代の終わり」「これからは早田ひなの時代」と短絡的な意見が飛び交っているようですが、そんな単純なものじゃない。

一昨年平野美宇が石川佳純を決勝で破った時も同じような声が聞かれた。でもそれから2年、石川佳純の国際大会での安定感はむしろ増して世界ランクを上げ続けている。平野美宇や伊藤美誠など国内選手にも、国際大会では全然負けていない。

こういう現実を直視しないで、1年に1度の全日本だけ見て「石川佳純は終わった」「平野美宇の時代」「早田ひなの時代」みたいに結論付けちゃうのは、あまりにも浅はかだと感じます。

たしかに早田ひなのバックの完成度には驚きました。でも、一度敗れてから対策を立てればまた勝てるようになるのが強者です。現に2017全日本(2016年度)で平野美宇に敗れた石川佳純は、その後しっかり対策を立てて勝ちまくっています。

中国勢もそうですよね。平野美宇にアジア大会で3連敗してから対策を立てて、全く負けなくなりました。卓球ってそういうもの。強者もたまには足元を救われるけれど、対策すればまた勝てるようになる。

だから安易に「石川佳純じゃなくて早田ひなを東京の代表にするべき」なんて言わないほうがいいんですよ。

早田ひながワールドツアーで勝てば代表になれる

世界ランクはワールドツアーや国際大会で決まります。そこで結果を残せるかどうか。一発勝負のトーナメントではなく、年に数十回開催される国際大会のうち上位8つの成績で算出されるポイントだけが、世界ランクを決める。

早田ひなは現在、日本で10番手レベル。

石川佳純や伊藤美誠、平野美宇はもちろんのこと、芝田、加藤、佐藤瞳らに加えて安藤みなみや長崎にも劣っています。ワールドツアーの成績があまり良くないからです。

2018年は怪我の影響もあって結果が出なかったので、2019年はガツンと勝つ可能性はあるでしょう。勝って初めて東京オリンピックへの道が開けます。

たった1回の全日本の勝利で、石川佳純よりも上だ!というのはあまりにも短絡的な見方と言えるのではないでしょうか。