なぜヴェガヨーロッパ(ヴェガヨーロ)が売れるのか

日本で最も選手層が厚い「初中級」レベルから絶大な支持を集めるラバーがあります。

それがヴェガヨーロッパ(通称ヴェガヨーロ)。

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最近はライバルラバーも増えてきて存在感は若干薄くなりつつありますが、セルロイドからプラボールに変わった今でも卓球王国の売上ランキングでは常に裏ラバーのTOP5に入り続けています。

なぜヴェガヨーロはこれほどまでに売れ続けるのでしょうか?

平凡で癖が無いからこそ売れる

ヴェガヨーロの特徴を一言で表すなら「癖の無い平凡さ」でしょう。これが初中級層に受けているんだと思います。

普通の引っ掛かり

普通。引っ掛かりが抜群に良いわけではないが、滑りすぎることもありません。この特徴の無さが技術上達には最適です。

引っかかりすぎれば擦り打ちやサーブはいいかもしれませんが、相手の回転の影響を受けすぎてしまいます。良い意味でも悪い意味でもちょっぴり鈍感な方が、技術レベルがそれなりの初中級にはいいんですよね。

ちょい柔な硬さ

ドイツ硬度で42.5度。ちょっと柔らかめのラバーですが、ふにゃふにゃまではいきません。これが初中級にいい。食い込ませてドライブの感覚を覚えたり、ブロックで相手の回転を利用したりということが簡単にできる。

初級の時はフォアで、中級になってもバックで長く使える42.5度という汎用さが受けていると思います。まあプラボールになってからはフォアはもうちょっと硬くてもいいかなという気もしますが。

ちょい軽め

ドイツラバーはちょっと重いものが多い中で、ヴェガヨーロはちょい軽めなポジション。重すぎると力が入りすぎるし、軽すぎると手打ちになりやすい。ちょい軽めぐらいが初級にはピッタリ。

弾みもプラボール時代には初心者からOK

マークVのようなラバーはプラボール時代は弾まなさすぎて、ちゃんとした指導者がいないとフォームをおかしくする可能性がある。

その点ヴェガヨーロの弾みは普通。それなり。だから中学1年の秋ぐらいから使っても全然問題ない。

ミートもドライブもそれなりにできる性能

ヴェガヨーロが出た当初は「かなり回転がかかり、テナジーっぽい」みたいな評価も一部であったみたいですが、今の評価は「ミート、ドライブがどっちもそれなりにできる」っていう評価に落ち着いています。

回転が掛かり過ぎるわけじゃなく、弧線を描きまくるわけじゃないです。同じ価格帯でもっと弧線を描くのはある。ただ、中学生レベルってミートとか当てるだけのブロックも大事。ドライブマン育成用にもミート打ち主体の子にも、それなりに合う性能。

どこでも売ってる

ヴェガヨーロが欠品している実店舗を見たことがありません。どこに行っても希望の色、厚みのラバーを購入できるのはヴェガヨーロのいいところでしょう。

買いやすい価格

ヴェガヨーロは定価4000円で、一般的な店舗だと実売3500円程度。この価格がいいんですよね。中高生の親にとっては頻繁に張り替えるラバー代って家計に直撃。定価4000円と5000円の差って、わりと心理的に壁があると思うんですよ。

発売当初は3800円で、消費税も5%だったから徐々に値上がりはしているわけですが、ヴェガシリーズの安さのおかげで日本のラバーも高騰化が抑えられてきたといってもいいでしょう。ありがとうXIOM(ヴェガの開発元)。

「それなり」「普通」「癖がない」「平凡」ってところに価値がある

なんか卓球人ってマニアっぽいところあるじゃないですか。すぐ飛び抜けた物を使おうとする。ラバー選びもそうで、人と違うものを使えばそれで勝てるようになるみたいな発想になりやすい。

大人の中級者ならそれでいいかもしれませんが、子供の場合は違う。「普通」の道具を使うことで、技術上達が妨げられない。ここがヴェガヨーロのいいところなのかなと。

癖のある道具を使うと、その道具の性能に引っ張られて、癖のある打ち方になる可能性がある。硬すぎたり柔らかすぎたり、弾み過ぎたり弾まなさすぎたり、重すぎたり軽すぎたり…。

そういう心配がヴェガヨーロだと払拭される。だから全国の指導者は安心して張らせられるのかなと。

ヴェガシリーズで似たような性能のものはあるか?

ヴェガシリーズでヴェガヨーロッパに似た性能のもの、あるいはステップアップするラバーはあるでしょうか?ここでは3種類紹介します。

ヴェガヨーロッパを基準として、硬さとラバーの引っ掛かりを比べた表を作ってみました。

名前 硬さ ラバーの引っ掛かり
ヴェガヨーロッパ - -
ヴェガヨーロッパDF 柔らかい いい
ヴェガアジアDF 同じ いい
ヴェガアジア 硬い 同じ

ヴェガアジアDFはヨーロの引っかかりを良くした感じ

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ヴェガヨーロをもう少し引っかかり良くしたい、というのならヴェガアジアDFが最適です。ドライブで弧線をもっと描きたいドライブマンにおすすめです。

「DF」はディフェンス(守備)のことではなく、ダイナフリクションという技術の頭文字です。引っ掛かりが悪くなったプラボール用として、ラバー表面の引っ掛かりを良くした技術のこと。

ヴェガヨーロと同じ42.5度なので違和感なく移行できます。
定価はヴェガヨーロッパから200円上がって4200円になります。

「ヴェガヨーロッパで基本ができてきて、少し個性を出したい。ドライブマンとしてやっていきたい」と考えてヴェガヨーロッパからステップアップするのに最適です。

ヴェガアジアはもっと直線的に飛び、スピードアップ

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ヴェガアジアはヴェガヨーロッパよりも5度硬く、レベルとしてはもう少し上の人が使うラバーになります。しっかりと打てる人じゃないと性能を持て余すかも。ヴェガヨーロッパよりも、直線的にボールが飛び、スピードは出る。

ただし、回転をかける技術がないとオーバーやネットミスが増えそう。

ヴェガヨーロッパDFは柔らかすぎる

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ヴェガヨーロDFはちょっと柔らかすぎるかな?

ヴェガヨーロ 42.5度
ヴェガヨーロDF 37.5度

ちょい柔らかいヴェガヨーロよりもさらに5度柔らかくなっていて、もうふにゃふにゃです。コシがなさ過ぎる。どういう層が使っているのかよくわかりません。

中学女子のバック面にはいいのかもしれない。あくまで自分は男なので、どうしても男目線で見てしまう。ヴェガヨーロッパDFはちょっとやわらかすぎる。

ファクティブやライガンなどライバルも増えつつある

打倒ヴェガヨーロを意識した他社のライバルラバーも増えつつあります。筆頭はニッタクのファクティブと、ヤサカのライガンでしょう。卓球王国売上ランキングでもトップ10の常連になりました。

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ライガンはヴェガヨーロよりちょっぴり安い定価3700円で、弧線をより描く性能。前にあまり飛ばない分、しっかり入る感じがします。フォアドライブをこれから覚える初心者に最適なのではないでしょうか。

今後もヴェガヨーロは売れ続けるでしょうが、ライバルからの突き上げも激しくなってきました。5年後も今のように初中級向けも定番ラバーの座をキープできるかどうか見守りたいと思います。