石川佳純という世界卓球団体戦・名勝負製造マシーン

2012年ドルトムント大会 準々決勝 韓国戦

6大会連続メダルをかけて準々決勝vs韓国戦。

2-2で迎えた最終5試合目。
当時18歳の石川佳純がカットマン・キムヒョンアとの最終マッチ。

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カットマン相手にフルゲームまでもつれると、見ている方も疲れる。ましてや実際に試合している選手の精神的な疲労たるや筆舌に尽くし難いところがあるだろう。

最終フルゲーム12-14で敗戦し、日本女子のメダルが途切れてしまった。負けた後の石川の表情はとても18歳とは思えない。責任感をめいいっぱい背負って敗れた、堂々たるエースの風格だった。この数カ月後、男女通して初めてのオリンピックメダルをロンドンで獲得する。

2014年東京大会 準々決勝 オランダ戦


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勝てばメダル確定の地元東京大会、準々決勝オランダ戦。

2番でリージャオにフルゲーム7-2からまさかの逆転負けをきっしていた石川。日本とオランダが2勝ずつで迎えた最終vsエーラント。世界ランキングがはるか下の格下だったが…先に2ゲームを先取してからフルゲームまでもつれる。最終ゲームに入っても石川の調子は上がらず、0-3となりタイムアウト。会場は悲壮感が漂いはじめる。

ここで石川佳純が自分で顔をペチペチと叩き「何やってんだ自分」みたいなしぐさ。上の動画の3:30:55あたり。両親と祖父母かな?気が気じゃない感じの観客席も映る。こういう時に女性は強い。お母さんはどっしり構えている。ちなみにユーチューバー卓球芸人ぴんぽんも観客席最前列でハチマキ。

このタイムアウトで吹っ切れたのか、6-6で並んだ後は一方的な展開で11-6。終わった瞬間に泣き出す石川。前の団体戦ドルトムントでメダルを逃していたのも脳裏にあったか。愛ちゃんが怪我でいない日本代表で堂々たるエースの風格で引っ張った。

2014年東京大会 準決勝 香港戦

この香港戦は3試合目の平野早矢香が凄かった。なんとなくサッカーの長友に似ているゴエイラン相手に、0-2で迎えた3ゲーム目も4-9でリードを許す。4-9って卓球的にはほぼ終わりみたいなスコアなんだけどここからゲームを取り返して見事に勝利。そして4試合目に石川登場。

リコウセイ相手にフルゲームの熱戦を制する。もし負けてたら5試合目は石垣。やばかったかもしれない。勝った瞬間は当時石川の代名詞だった「ぴょんぴょん」。だいぶ大人になってしまった今はもう全然やらなくなってしまった。

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2018年 準々決勝 統一コリア戦

vsキムソンイ。因縁の相手である。2016年のリオオリンピック女子シングルス初戦で敗退。同年3月の世界卓球団体戦の準決勝で北朝鮮と対戦していた日本、キムソンイは伊藤美誠に勝利していたとはいえ、石川なら多分勝てるだろう…という見込みがもろくも崩れさる。途中肉離れを起こして治療を要求するも認められず敗れる。

キムソンイはその後勝ち進み3位決定戦で愛ちゃんも下して銅メダルを獲得。そんな相手と、まさかの「統一コリア戦」という漫画みたいな展開でメダルをかけて対戦。燃えないわけがない。

攻撃的カットマンのキムソンイに苦しみつつもフルゲーム。とにかくこの最終ゲームはエッジが多かった。なんと3度。8-7、10-10、13-12という極限の場面で、しかもカットマン相手のエッジ…。うちのチームのキレやすい●●君だったらラケットを相手に投げつけてもおかしくない場面。これで勝つんだもんなあ。

結局フルゲーム16-14。終わった瞬間、涙。俺も泣いた。見事にリオのリベンジ&卓球史上に残るハプニング試合で主将の責任を果たす。

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次の世界選手権団体は2020年韓国釜山大会。紛れもなく東京オリンピックの前哨戦。名勝負製造マシーン・石川佳純主将が大活躍してくれることを祈る!