突然消えてしまった愛ちゃんに思うこと

リオオリンピック後に結婚を発表してそのまま卓球界からフェードアウトしてしまった愛ちゃんだが、出産後にママさんとなって現役復帰する意向を表明した。出産後に復帰して世界トップ10に入るぐらいに力を戻した選手っているのだろか。ちょっと記憶に無い。

2014年には骨折で公式戦から半年離れていたこともあるので、長期離脱でも競技復帰できると考えているのかもしれない。が、今の日本女子の豪華な顔ぶれを見ると2年後ぐらいに愛ちゃんが復帰したとしても3人枠はもちろん5人枠の代表を勝ち取るレベルに戻ることはちょっと考えづらい。

リオオリンピックではシングルス2枠に入った愛ちゃんだったが、あくまで2015年9月時点での世界ランキングで日本2番手であったという話であり、リオ本戦の時点で急激に力をつけていた伊藤美誠とどちらが力があったのかはわからない。あるいはサポートメンバーの平野美宇と比べてもどうだったか、という見方すらもできるだろう。

だからこそ先日の全日本までは一線で現役を続けて、伊藤・平野ら黄金世代の挑戦を受けて欲しかった。
というか、そうなるものだと思っていた。

しかしリオが終わってすぐに競技から離れたのは意外だったし、突然日本の卓球界から愛ちゃんがいなくなったことの喪失感というか、いや喪失感をさほど覚えないぐらいひっそりと姿を消してしまった事を自分は残念に思う。華やかな結婚会見はもちろん見たのだけれど、それを踏まえても自分の中ではいつの間にか愛ちゃんがいなくなった感じがしてならない。

だって、愛ちゃんである。
あの愛ちゃんである。
小学校に入る前からみんなが知っている愛ちゃんである。

サッカーで言えば中田とかカズとか、野球だったらイチローみたいなものである。
そういう選手がいきなり競技の一線を退けば卓球界全体として喪失感は覚えるには当然だろう。
いつも居た選手が居なくなるのだから。

愛ちゃんはサッカーにとっての中田・カズや野球のイチロー以上に、卓球という競技に限ればダントツで立役者だ。スーパースターだ。
愛ちゃん無くして今の卓球界は無いと言ってもいい。
その福原愛がいなくなっても特段何も変わらず卓球界が前に進んでいることに驚きを感じる。

ようするにそのぐらい今の卓球界、特に女子は充実している。
愛ちゃんが居なくなってもあまり影響が無いぐらいに充実した陣容を誇っているということなのだろう。
女王石川、次期エース候補の平野・伊藤の3人を軸として、虎視眈々と早田浜本加藤佐藤橋本も東京枠3つを狙っている。

男子で水谷が引退したらぽっかり穴が空くのとは違って女子は愛ちゃんの人気・実力を埋めるだけの陣容が揃っているということなのだろう。

それでも全日本で見たかった

でも、愛ちゃんにはリオの後すぐにフェードアウトするのではなく、全日本まではコンディションを保って石川や黄金世代とのケリを付けてから結婚生活に入って欲しかったと強く思う。恐らく優勝は厳しかったかもしれない。でもそれでいい。できれば平野・伊藤あたりと対戦して次の世代への引き継ぎのようなシーンが自分は見たかった。

これはもちろん個人的な願望・わがままです。
そうあるべきだ、なんてとても言えない。
サンデーモーニングで張本さん当たりは「そんなんじゃ駄目だ!」とか言いそうだけど、そりゃ余計なお世話ですよ。
あれだけ卓球界のために犠牲を払ってきた愛ちゃんの人生だから好きにやって欲しいし、今後の人生の方が長いんだし、男と違って女性は出産と激しい競技の同時進行は無理なんだし、本人と家族で話し合っての結論なのでしょう。


でも、上で書いたような寂しさを覚えるのも事実なんですよね。
今年の全日本で愛ちゃんを見たかった。