卓球のゴシップ記事が増えてきた。信じちゃダメ。
サイゾー系列のビジネスジャーナルの記事が酷い
これ、本当に酷い。残念過ぎる記事です。
石川佳純が下世代からの突き上げにあっていて、東京五輪に出られないかもしれないという切り口でスポーツライターさんが書いた記事なんですが、事実誤認が酷すぎます。
ツッコミ1
ツッコミどころはいくつかあるのですが、一番酷いのがここ。
「伊藤が決勝戦で猛抗議した世界選手権の前と後とでランキングが変わったことからも、ポイント争いがいかに熾烈なものかがうかがえます。順位自体は変わりませんでしたが、国内トップの石川と2位伊藤の差は643ポイントだったのが、大会後は403ポイントに縮まった。伊藤が優勝していたら、国内女王の座は逆転していたでしょう。3位平野も、1760ポイント差で伊藤を猛追しています。国際大会で1回優勝すれば逆転できてしまう僅差といえます」(スポーツ紙記者)
「伊藤が決勝戦で〜」「伊藤が優勝していたら」という脈絡から、誤審があり準優勝に終わった女子ダブルスのことを指しているのだと思われる。女子ダブルスで優勝していれば、石川と伊藤の世界ランクの順位がひっくり返っていた…と言うわけですよ。いやいやいや。
世界ランキングにダブルスの戦績が入らないのは常識です。この発言をした「スポーツ紙記者」とやらは、シングルスとダブルスの区別すらも付いていないことが伺い知れます。
っていうかその「スポーツ紙記者」って存在するの?それ実在人物ですか?
もしかしてライターさんが創りだした架空の人物じゃないの?
ツッコミ2
「石川、伊藤らに限った話ではありませんが、獲得した時期が古いために、2019年内に順次“喪失”するポイントもあるわけです。だから、どこかの大会を休んでワールドカップだけに備える……なんて悠長なことはできません。稼げるポイント数が大きな大会ばかりですから」(前出・同)
※「前出・同」は「体育協会詰め記者」のこと。おそらく卓球協会の誤記だと思われる
この発言も違和感がある。「2019年内に順次“喪失”するポイントもある」という発言には違和感しかない。この発言をしたとされる「体育協会詰め記者」は、2020年1月になった時点の世界ランキングで代表が決まるという事実を、たぶん知らない。知らないからこそ、こんな違和感丸出しなことが言える。
東京五輪出場を決める世界ランキングポイントは、唯一の例外として2018年世界卓球団体だけは加算されるものの、ほかは全て2019年のポイントのみ。その仕組みを知っている人間からすればそもそも「失効」なんて発想があんまりわかないんですよね。2019年(+2018団体)のポイントだけを考えるわけで。失効云々っていう発想が出る時点で、あんまり世界ランキング&東京五輪選考レースの仕組みをわかってない人っぽい。
普通の人ならそれでもいいけど、協会に詰めるような記者が失効の仕組みを正確に把握していないとは考えられない。
実在人物ですか?ライターさんが作り出した架空人物じゃないの?
ツッコミ3
また、21歳の佐藤、芝田の猛追も考えられる。というのも、石川の卓球スタイルには“弱点”があるのだ。
〜(中略) 最近の卓球はスマッシュ一撃必殺になっていて、石川はドライブ型という「テレビ局スポーツ部員」とやらの解説〜
ドライブはスピードがスマッシュほどには出ないゆえ、絶妙なタイミングを見つけるためにおのずとラリーも長くなる、という見方も可能である。つまり石川のスタイルは、ただでさえ体力を消耗するともいえるわけだ。
いやいや・・・。そんな事を言ったら前段に出てくる佐藤(瞳)はどうなるんですか。カットマンですよ。ドライブマンの何倍ラリー続くんだって話で。
もうね、卓球ファンからしたら、この記事ってすべてが破綻してるんです。このライターさんが思いついた「石川佳純が下世代からの突き上げにあっていて、東京五輪に出られないかもしれない」という切り口に沿って、いい加減な情報と実在すら怪しい人々の発言がつめ込まれてる記事。
ちょっと最近こういう記事目立つんですよね。
ちなみにビジネスジャーナルってのは、サイゾー系列。
まあゴシップ系の媒体です。
もっと酷いゴシップ記事はこちら
この「週刊実話」の記事はさらに酷いです。伊藤美誠へのしょーもないゴシップ記事。ここでも「関係者」という体で色んな人が発言していますが、おそらく架空の人物でしょう。
記事を要約すると、
・伊藤美誠がTリーグに参加しなかった
・そのために他の女子選手から白い目で見られている
そしてTリーグに伊藤が出なかった理由として、関係者の言葉を借りてこう説明している。
一昨年夏のリオ五輪代表は、福原愛、石川、伊藤だった。ライバルで親友、ダブルスのパートナーでもある平野美宇は落選したが、五輪後に平野が覚醒し、国際大会はもちろん、国内でも女王・石川をしのぐ勢いを見せている。伊藤は「このあたりで巻き返しを!」との思いが強く、あえて厳しい海外での大会を主戦場にすることを選んだのだ。
「伊藤は平野に追い抜かれたと思っています。平野に対する焦りもあったのかもしれません」(関係者)
これは当時の国内卓球界をリアルタイムで追っていた人からすれば、浅い分析に他なりません。
確かに平野が大躍進をみせて、伊藤が低迷していた時期はありました。でもそれは2016のリオ後から、2018年1月までの話です。
だって2018年1月の全日本で、伊藤は無敗の3冠に輝いているんですよ。準決勝で石川、決勝では平野を寄せ付けず「やっぱり日本のエースは伊藤だ」と卓球ファンに印象づけました。
Tリーグが始まったのはその半年以上も先の話なんです。当時の伊藤は絶好調で、逆に平野は絶不調にあえいでる時期でした。そういう細かい事情を知らない、卓球にあんまり興味のないライターが、伊藤美誠と他の選手の関係が上手くいっていないという論調で記事を書くために適当な情報を寄せ集めている感じがプンプンするんですよね。
伊藤がTリーグ参戦より自分の練習に集中した方が東京五輪に近づくという判断をしたのは事実です。本人が語っていますから。でも上の記事に書かれていることは、たんなるゴシップ。信じちゃダメ。
協会の中の人が否定したゴシップ記事はこちら
問題は、団体戦要員となる3人目だ。日本女子の団体戦は、2012年ロンドン大会で銀、16年リオ大会で銅。盟主中国を破っての金獲得は悲願である。そのカギを握る“第3の女”は、ランクを考慮しつつも強化本部の推薦で決まる。
「実は、強化本部は、何としても早田を選びたい。そうすれば団体戦のダブルスで勝ちが見込めますから」
※日本卓球協会幹部とやらの発言らしい
これも酷い。人目で嘘・妄想記事だとわかる。
卓球協会の重鎮の宮崎さんが、ツイッターではっきり妄想記事だと言っています。
毎回、無いこと、無いことの取材があります。今回は取材無しで妄想記事ですね。
— 宮崎義仁 (@donata_japan) February 5, 2019
卓球人気の高まりにつれて、今後は卓球ゴシップ記事も増えてくるでしょう。
卓球王国とかラリーズさんのようなちゃんとした媒体が「週刊誌ふざけるな」と言ってもらいたいものです。