卓球のクラウドファンディングで炎上しないために

卓球関係のクラウドファンディングが徐々に盛り上がりつつありますが、クラウドファンディングって使いどころを間違えると簡単に炎上しちゃいます。

記事の主眼はクラウドファンディングの是非を論じることではなく、「クラウドファンディングで炎上を避けるにはどうすればいいか」という点です。

クラウドファンディングで炎上しないための考え方

  • 100%自分のためだけのクラウドファンディングは炎上しやすい
  • 建前でもいいので「社会のため/誰かのため」にならないといけない
  • 支援者だけでなくそれ以外の人にもメリットを提供する

ようするにクラウドファンディングによって「社会」に何かメリットを与えられるかどうかってところがポイントなんだと思います。

1.クラウドファンディングが実現
 ↓
2.自分が何か行動する
 ↓
3.その結果、自分以外の人も得をする ← ここが必須

3の観点が全く無いクラウドファンディングは「単なる乞食じゃん」って言われて炎上しやすいのかなと。

支援者以外も満足させないといけない

クラウドファンディングの使いどころの難しさとしては、お金を出す支援者以外にもメリットを与えないと炎上しやすいってところ。

「お金を出した人が納得すれば、それでいいじゃん。外野が何を言おうが知ったことじゃない」ってのは、理屈としては筋が通っています。でも現実世界では炎上一直線なので注意が必要。支援者にリターンがあるから大丈夫、という考え方では「ファンから搾取しているだけ」などと炎上しがちです。

たとえば卓球場を作るというクラウドファンディングが何件か成立しています。これは誰にメリットを与えているのでしょうか?

・支援者←まあまあメリットがある
・卓球場がある地域の人←ここに最大のメリットがある

メリットが得られるのは支援者だけじゃないんですよね。卓球場ができたことによって、卓球場を利用する地域の人たちが最大の恩恵を得られるわけです。「地域社会にメリットがある」とも言い換えられます。こういうクラファンはまず炎上しません。むしろめっちゃ応援される。ありがたい。

極端なことを言うと、支援者ってのは支援した時点でもう満足していることが多いです。何かを頑張りたい若い人がいて、そこに自分がお金を出してあげたという事実だけで、ほぼ満足しています。

支援者だけでなく、それ以外の人たちにもメリットを与えられるストーリーを作ることで、炎上確率は大幅に下げられます。

卓球において炎上しやすそうな例と改善例

× ラバー買うお金がないので支援して
→自分しか得をしない。自分以外の人が得をしないので炎上しやすい。

○ 支援金で新商品ラバーを買って動画で徹底的にレビューします
→ネットに溢れているありきたりなレビューではなく、めちゃくちゃ気合いの入ったレビューをすれば、社会が得をする。例えば今だったらテナジーとディグニクスを30分ぐらいの長い動画で徹底的にレビューするとか。

×遠方の大会に行く交通費を支援して
→自分が楽をしたいだけなのを見透かされて炎上しやすい

△地方の大会に出向いて、地元の人に自分の技術/熱意を伝えたい
→ちょっと無理はある…けど建前としてはありかな?相当うまい人や人気のある人限定

交通費系はぶっちゃけ炎上しやすいと思います。建前ですら作りづらい。手を出さないほうが賢明かなと。5年ぐらいすればありきたりになって炎上しなくなる可能性はあるけれど、あんまりオススメできません。

×今の仕事が嫌なので辞めて卓球選手として飯を食いたい
→動機付けが「仕事を辞めたい」なので、自分だけが得する感じになってしまう

△日本を代表する実力ではないが、やり方次第でプロ卓球選手になれることを証明して卓球界に一石を投じたい
→無理はある。でも建前としては少しだけ筋が通るので、炎上確率は下げられる。

「炎上を恐れるな」というアドバイスについて

「炎上を恐れたら何もできない」
「炎上なんてへっちゃら、死ぬわけじゃない」
「炎上しても、また這い上がればいい」

こういうアドバイスって確かにカッコイイですよね。卓球界でも、この手のアドバイスをしたがる人はわりといます。アドバイス自体は正論かもしれません。

でもね、こういうアドバイスをしている人は、たいていの場合、炎上耐性がめちゃくちゃ強い人ってことを忘れちゃいけません。普通の人より防御力が高い。あるいは鈍感だから人の批判を気にしない。ようするに(いい意味でも悪い意味でも)普通じゃないんです。

身体をガチガチに鍛えたプロレスラーが「バックドロップ食らっても大丈夫だよ、死ぬわけじゃない」って、一般人にニッコリほほえみながらアドバイスするようなものです。いや、死ぬわ。

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「大丈夫、死なないから!」

大多数の人はネットで派手に炎上したらまず立ち直れないです。そんなにみんな強くない。

クラウドファンディング系の炎上って、結構悲惨なところがあるんですよ。私が間接的に知っている人も、家入さん系クラファンで大爆発して凄まじく燃え上がり、ネット系メディアに取材され、スーツ着て謝罪させられ、表舞台からひっそり消えていく…みたいなことがありました。5年以上前の話ですが、当時は今以上に燃えやすかった。

クラウドファンディングにさえ手を出さなければ、今頃もっと幸せだったんだろうなと思う人がいっぱいいるんですよね。たいていの人はクラファンで炎上したら、もうネットに出てこなくなっています。

クラファンにはそういう怖さがあるってことだけは、絶対に知っておいた方がいいです。

「誰にも迷惑がかかっていないんだから炎上させる側がおかしい」という声について

「クラファンやることで、誰にも迷惑がかからない」
「それなのに批判して炎上させる側が悪い」
「だから気にせずに挑戦しよう」
「炎上したらしょーがない」

こういう主張をする人もいます。正論だとは思いますが、そういう問題じゃないんですよ。こういうアドバイスをする人って、アドバイスをする対象には思いをはせない、無責任な態度に感じます。ようするに、相手が悪いんだから戦死してもしゃーないって戦地に送り出すようなものです。

誰が悪いという問題は抜きにして、シンプルに炎上しやすいかどうかを客観的に判断して「危険度30%だから注意して」とか「この理屈だと燃えやすいから、〜しよう」とか、そういう事を言うのが冷静なアドバイスなのかなと。

まとめ:炎上しないような筋の通ったクラウドファンディングにしよう

今後、卓球界でも徐々に利用事例が増えるであろうクラウドファンディングについて、主に炎上という観点から書いてみました。これからクラウドファンディングを利用しようとしている若いひとは、この2点には十分注意をしてください。

  • 自分や支援者だけでなく、それ以外の人にもメリットを与えられる理屈があれば炎上しにくい
  • 普通の人は炎上したら立ち直れないことが多い

最近はポルカなど敷居の低いクラウドファンディングが増えてきて、気軽に交通費やラバー代の援助を求めようとする若い人が増えそうな気配が漂っています。というか、チラホラ観測されています。実例を書くとよけいに燃えるので書きませんが、ちょっと危ないケースもありました。

炎上して損をするのは自分です。炎上しても鼻くそをほじりながら平常心でいられるメンタルの強い人は、あんまりいません。

もしクラファンせずに済むのなら、それが一番安全です。誰かのお金を使うということは、それだけ自由が失われるということでもありますしね。色々と縛られる。

でもクラファンでしか実現できないこともあるし、誰かのためになるという確信があるのなら、堂々と使えばいいと思います。炎上せずに、みんなが幸せになれるクラウドファンディングを目指しましょう!