ラブゲーム回避はこれからも無くならない
2019年世界卓球女子シングルス決勝で、劉詩雯がラブゲームをして卓球界隈がざわついています。劉詩雯は準決勝の丁寧戦でもラブゲームでゲームを取っているので、今大会2度目ということになります。
世界卓球の準決勝・決勝という最高峰の舞台で、ラブゲームをしちゃう劉詩雯の集中力すげえ…という話ではなく。
卓球における謎マナーがついに根絶されるのか、という話。
「ラブゲーム=相手に失礼」という失礼さ
自分のような一般中級レベルだと、たまに10-0になっちゃいます。猛烈に強いオジサン、部活で週6練習しているお兄さん、カブ時代に全国に出た中学生などには太刀打ちできず、10-0というシチュエーションになっちゃいます。
そんな時、勝っている側がわざとミスをして10-1にしなければいけないという暗黙の了解が卓球界の謎マナーです。
いつからなのかよくわかりませんが、最初に中国選手が始めて広まった模様。昔は21点制だったからラブゲームなんてまず無かったんでしょうが、2001年に11点制が導入されたのをきっかけにラブゲーム回避という謎マナー、謎ルール、謎思想が生まれたのでしょう。
11-0で勝っちゃうと相手に失礼っていう根拠なんですが、ぶっちゃけ逆ですよ。逆。
負けてる側から言わせてもらえばわざとミスって点をもらった方が辛いです。惨め。
よくやられている自分だから強く言える(泣)。
あからさまなサーブミスやレシーブミスされて、喜ぶ人っているんですかね?逆に惨めでしょう。普通にやって11-0の方がお互いスッキリしますって。
ミスせずにあえて浮かしてくる腹立つオジサン
中にはミスで点をあげるのではなく、あえて浮かしたボールを上げて「さあ打てよ」みたいなことやるオジサンもいます。レシーブでネットの4倍近くの高さに上げたり、温泉卓球みたいなサーブしたり。
さすがに自分はやられたことないですが、オジサンvs小中学生とか、オジサンvsレディースだとたまに見かけますね。見てる方も胸糞悪いし、やられている方はおちょくられてるみたいで腹立つでしょう。
しかも浮かしたレシーブを相手が打ちミスして11-0になっちゃうと「ありゃーわざと上げたんだからしっかり打たないと」とか言っちゃう人までいてね…。
マナーという建前のラブゲーム回避が、余計に相手を怒らせちゃってるとしたら本末転倒なんですよ。
劉詩雯がラブゲームしたからといってラブゲーム回避は無くならない
世界卓球という超最先端の場所でラブゲームが遂行されたから、これで卓球界からラブゲーム回避が無くなる・・・わけないんですよね。少なくとも草の根のアマチュアレベルでは、これからもラブゲーム回避が続くのは間違いないです。
オジサンって、一度仕入れた知識・マナー・ルールを、死ぬまで更新しない人が多い。一度思い込んだらもうその考えから離れられない人種だと思います。みんながみんなじゃないけど、2割〜3割ぐらいそういうめんどくさい人がいる。サーブのルールとか、いまだに何十年前の認識でやってる人いますからね。他人に間違いを指摘されても、知識を改めない。「そんなわけねえ!」って怒る。
だから「ラブゲーム=悪」って染み付いたオジサンは、いくら最先端の卓球界がラブゲームOKになったとしても、それを受け入れません。ラブゲームで勝った人に説教かましまくるでしょう。
そんでラブゲームOK派の人も、めんどくさいオジサンに説教されたくないから結局ラブゲーム回避せざるをえなくなる。ってわけで今後少なくとも20年はラブゲーム回避が日本では続くでしょう。
エスカレーターの片方空けと同じ
一度染み付いた謎マナーが社会から根絶されるのは相当な時間がかかります。一番いい例がエスカレーターの片方空け。関西では左、それ以外の地域では右側を空けるのが暗黙の了解となっていますが、あれは余計に輸送効率を下げちゃってるので鉄道各社は根絶したい。わざわざ駅員まで配置して「片方空けないでー!」と周知しても、駅員がいなくなればまたみんな空けだす。
5割ぐらいの人はわかってるんですよ、空けても意味ないなって。
でも残りの5割の人からの「なんでこいつは塞いでるんだ」っていう軽蔑な眼差しや罵声が怖いので、空けちゃう。
ラブゲーム回避も全く同じ道を辿るでしょう。
これだけ根付いた暗黙の了解は、まず根絶されないと確信しています。